手仕事について真面目な話。

おはようございます。キナルの岩佐です。
今日はちょっと真面目な話です。(長くなりそう・・・)

先日、キナルでも人気の倉敷意匠さんが発行しているカタログ「職人仕事の日本③」
改めて読んだのですが、とっても胸の痛くなるような文面がありました。
 (これはカタログといっても、読み物としても十分に楽しめるものです。)



その中のページから抜粋しますね。

「・・・(中略)・・・今回、打合せにお邪魔したある工場での話です。
この傷がどうしてできてしまうのか、全部が均一な仕上がりにならないのはなぜなのか、
値段の違いはどこにあるのか、お客さんに聞かれて答えられる売り手なんてほとんどいないのだと言います。
だから、説明のつかない不具合は、有無を言わせず全部返品してくるのだそうです。
それって、手作りだ、クラフトだと宣伝しながらものを売るお店のあるべき姿なの?
今、ものを作る多くの人たちは、値段を安くすることと、クレームを回避することばかりに苦心惨憺(くしんさんたん)しながら、自分の作るべきものは何なのか悩んでいます。」

これは事実、キナルでも起こっていることです。
手作りの良さを知って頂きたくて、そういうポリシーも基づいた商品をセレクトして販売はしていても、
手作りだから出来てしまう傷(手で組み立てるときにちょこっと木と木が当たってしまった、など。)や、
ちょっとした不具合(扉の開きがほんの少しスムーズでなく、やすりをかければ問題なく使える、など。)、
不良品とまではいかないけれど(木目が他の商品よりも派手に出ている、など。)お客様がそれを受け取ったときにどう思うかしら?これが木の持ち味だとちゃんと理解してくれるかしら?
メーカーはこれを不良品とは認めないし(当然といえば当然なのです。)、
これがお店の在庫として残り続けても経営上、困る。

だから、製品としてきちんと梱包、箱詰めされて届いた商品も、
割れ物でなくて箱に損傷がなくても、ひとつひとつ開けてチェックしています。
メーカーや作り手さんが、梱包の前にちゃんとチェックして発送してくれているにもかかわらず。
とても手間がかかる、気の遠くなるような作業です。


でもこれはとっても難しいようで、でも簡単な話かもしれません。
キナルが、この商品がどうやって製造されているのかをちゃんと理解すること。
もしそういう商品を受け取ったお客様が
「こんな商品を送るなんて!」とお怒りになったときに、きちんと説明ができること。
そしてお店だけでなくHPでも、きちんとそういった説明ができること。
(長々と不良に関することを記載するのもどうなの?と、これまた難しい課題なのだけど。)

でもそういった地道な努力が、お客様に心から喜んで物を使って頂くことにつながるのだと思います。


我が家では毎年お正月明けに、子供たちとお味噌を手作りしています。
たっくさんの茹でた大豆を大きな袋に入れて潰す作業が子供たちはとても楽しいようで、
「今年はまだお味噌作らないの?」とリクエストしてくるほどです。

そして食べごろ(その年の秋~冬)を迎えたお味噌を家族で大事に頂きます。
これが、本当にしみじみと美味しい。
既製品のものとは違って、つぶれていないまんまるの大豆が混ざったりしているのですが、
そういう既製品ではありえない一見不良品とも言うべき?大豆に出会うと、
子供たちは喜んで「あー!つぶし方がまだ足りなかったねー!」と喜びながら、それを取り合います。
でも手作りの良さってそういうことなんだと思うんです。

既製品ではありえない、均一でない、それだけにしかない個性に出会うこと。

そういう喜びをキナルを通してたくさんの方にお伝えしていけたらいいなと、改めて思いました。

そして、そういう個性のある商品に出会ったお客様が、
「人とは違うただひとつのものに出会えてうれしい!」と喜んで大事に使って頂けたら、
わたしたちは本当にうれしいと思います。
ご紹介してよかった、また頑張ろうと思うんだろうと思います。


今日は真面目なお話でした。
長くなりました、ごめんなさい。最後まで読んでくださってありがとうございます。